2008年11月12日
凍結胚移植によるIVFで児の先天性奇形リスクは上昇しない
ヨーロッパ生殖学会(ESHRE)で上記タイトルの報告がありました。以下に要旨を書きます
〔スペイン・バルセロナ〕コペンハーゲン大学病院Rigshospitalet(デンマーク・コペンハーゲン)のAnja Pinborg博士は,凍結融解胚移植で生まれた新生児は,新鮮胚から生まれた小児よりも出生体重が大きかったと報告した。また母親の妊娠期間は長くなっていたが,児の先天性奇形リスクは上昇しないという。
神経学的後遺症のサブ解析はこれから
Pinborg博士らは,1995〜2006年にデンマークで凍結融解胚移植後に生まれた児1,267例を調べた児と,同期間に新鮮胚を使ったIVF/ICSIにより生まれた1万7,857例を対照群とした。
不妊カップルは胚を凍結することで,1回の採卵で数周期のIVF/ICSIを試みることが可能となる。凍結胚は後日融解され,排卵の3〜5日後に,新鮮胚と全く同様の方法で子宮に移植される。この技術により,卵巣刺激と採卵回数を少なくすることができる。
同博士らによると,凍結融解胚移植群の多胎妊娠率は同等(ICSI 11.7%,IVF 14.2%)だったが,新鮮胚群では多胎妊娠率がかなり高かった(ICSI 24.8%,IVF 27.3%)。母親の年齢は凍結融解胚移植群で有意に高かった。妊娠期間は,凍結融解胚移植群の方が有意に長く,出生体重は凍結融解胚移植群で約200g多かった。低出生体重の比率は逆に有意に低く,早産率も低かった。
特に重要なことは,FER群で先天性奇形リスクの上昇が認められなかったことである。FER群の先天性奇形発生率は7.1%,新鮮胚群では8.8%であった」と説明。「凍結と融解が及ぼす影響について過去に懸念が表明されてきたが,今回の研究はその不安を払拭するものである。 さらに,同博士は「今回の知見はわれわれを安心させてくれるものである。しかし,凍結融解胚移植において先天性奇形との神経学的後遺症に関するサブ解析はまだ行われていない。今回のポジティブな結果が今後も維持されれば,凍結融解胚移植は全く安全な方法として受け入れられ,現在よりももっと頻繁に行われるようになるであろう」と結んだ
投稿者 jart : 2008年11月12日 22:52